#短歌

利休道歌 44

茶入又茶筅のかねをもよく知れ あとに残せる道具目当てに 茶入を置く位置は、茶を茶碗に入れるときに持ち上げ、また元の位置に戻します。 茶筅の位置は、茶筅通しや茶を点てたあと、また元に戻します。 この時、ちゃんと元にあった位置におくことが肝心です…

利休道歌 43

はこびだて水指おくは横畳 二つ割りにてまんなかに置け この道歌も位置の決定の重要性を説いています。 風炉の場合は、風炉を据え畳の横幅を二つに割った半分のまた半分に に水指を置きます。すなわち、畳の幅の四分の一のところに置くわけです。 本勝手の炉…

利休道歌 42

置き合せ心をつけて見るぞかし 袋は縫目畳目に置け この歌は道具の置き合わせに注意しなさい、ということです。 お点前で一番大事なのは「位置の決定」 二番目は「順序」 三番目は「動作」といわれます。 わたしが青年講習会で運びの平点前をお願いした時に …

利休道歌 41

姥口は囲炉裏縁より六七分 低くすゑるぞ習ひなりける 姥口の釜というのは 口づくりが歯の抜けた老女の口に似ているところから名付けられた釜の名称です。 普通の釜は口づくりが胴より高くつくられていますが 姥口は、口が胴の中へ折れ曲がるようになっている…

利休道歌 39

品々の釜によりての名は多し 釜の総名カンスとぞいふ ごめんなさい。「カンス」変換しても出てきません! 「灌」のさんずいのかわりに、かねへんに「子」です。 中国での「釜」の呼び方です。 いろいろな名称の釜があります。 利休好みだけでも 尻張釜・丸釜…

利休道歌 38

外題あるものを余所にて見るときは 先づ外題をば見せて披けよ 「外題(げだい)」とは、巻物や掛物の裏側の上部に 「○○図○○筆」とか「○○筆一行」など、内容や筆者などを記して貼ったものです。 これは、いちいち掛物を開いて見なくても、巻いたままその内容…

利休道歌 37

床にまた和歌の類をば掛るなら 外に歌書をば荘らぬと知れ 広間の茶室ですと、床のほかに書院や脇床がついている場合があります。 その書院に何も飾らないと寂しいので『古今集』のような和歌の本や巻物を置くことがあります。 床に歌切や懐紙などの掛物をか…

利休道歌 36

掛物の釘打つならば大輪より 九分下げて打て釘も九分なり 大輪(おおわ)というのは、数奇屋建築の用語で、天井の回り縁のことです。 掛物を掛けるために、床の壁に打つ釘を「掛物釘」といいますが その釘は金属製ではなく、竹を削って作ります。 白竹の一面…

利休道歌 35

絵掛けものひだり右向きむかふむき 使ふ床の勝手にぞよる この「絵掛けもの」とは人物画のことと思われます。 茶室の床に掛ける人物画といえば、高僧や茶人、仙人などでしょう。 高僧の人物画は「頂相(ちんそう)」といいますが たいてい正面を向いているの…

利休道歌 34

絵の物を掛る時にはたくぼくを 印あるほうへ引きおくもよし 絵の掛け物といっても茶室に掛けるものは、極彩色の絵ではありません。 主として水墨画のようなものですが、そうした掛け物を掛けるときは 啄木(巻緒)を作者の印(落款)が押してある方へ引いて…

利休道歌 33

墨蹟をかける時にはたくぼくを 末座の方へ大方はひけ 墨蹟とは大燈国師とか一休禅師などの高僧が、禅語を書いた掛け物のことです。 この歌は墨蹟だけでなく、すべての掛け物にあてはまります。 「たくぼく」とは「啄木」と書き、石川啄木の「啄木」です。 キ…

利休道歌 32

客になり底取るならばいつにても 囲炉裡の角を崩し尽くすな これは炉の場合です。 お茶事で、炭所望されてもお客さまが底取り(灰をすくうしゃもじのようなもの)で 炉中の灰を取り上げるということはしません。 茶会に招かれてちょうど人数が揃っているから、…

利休道歌 31

客になり風炉の其のうち見る時に 灰崩れなん気づかひをせよ 風炉の灰型は昨日今日と練習しただけで、できるものではありません。 わたしにとって永久の課題です。 それだけに、風炉の灰に関した茶人の逸話も多いそうです。 利休の孫宗旦の長男宗拙は風炉の灰…

利休道歌 30

風炉の炭見ることはなし見ぬとても 見ぬこそ猶も見る心なれ 炉の炭手前のときには、お客さまが炉のまわりに寄って、炭のつぎ方を拝見します。 風炉のときは拝見にでません。 これは風炉のまわりに寄れない、ということもありますが 大勢が風炉の近くに寄って…

利休道歌 29

炭おくも習ひばかりにかかはりて 湯のたぎらざる炭は消え炭 これは利休道歌 24 炭置くはたとへ習いにそむくとも 湯のよくたぎる炭は炭なり と同じ意味で、それを逆に歌ったわけです。 炭手前の作法はいつごろから今のように定まったのでしょうか? 炭手前…

利休道歌 28

崩れたるその白炭をとりあげて 又たきそえることはなきなり これも枝炭のことです。 わたしにとって枝炭は火箸ではさみにくく よく失敗してバラバラになって崩れてしまいます。 いったん炭の上に置いたからには、崩れたからといって取り上げてつぎ直さず そ…

利休道歌 27

焚え残る白炭あらば捨ておきて また余りの炭を置くものぞかし 白炭とは枝炭のことです。 つつじ・つばき・樫などの枝を焼き、石灰や胡粉で白く化粧した炭です。 炭を形よくついだ後で、管炭にそうように、この枝炭を2・3本置きます。 下火の赤・ついだ炭の…

利休道歌 26

炭つがば五徳はさむな十文字 縁をきらすな釣合をみよ 炭の置き方を歌にしたものです。 「五徳」をはさむようにして炭を置いてはいけない、ということです。 見た目も悪いですし、風通りも良くありません。 「十文字」は胴炭という一番太い炭と管炭という細長…

利休道歌 25

客になり炭つぐならばそのたびに 薫物(たきもの)などはくべぬことなり 亭主に所望されて炭をつぐ場合、客はお香をくべてはいけません ということです。 お香は炭特有のにおいを消し、同時に室内の不浄の気を払うために 亭主がたくものです。 裏千家の相伝種…

利休道歌 24

炭置くはたとへ習ひにそむくとも 湯のよくたぎる炭は炭なり お湯がなくてはお茶を点てることはできません。 お湯はお釜がなければ沸きません。 釜があっても、炭のつぎ方が悪いと火は起こりませんし お湯は沸きません。 今なら瞬間湯沸し器や、やかんをコン…

利休道歌 23

乾きたる茶巾使はば湯は少し こぼし残してあしらふぞよき 茶巾は茶巾盥(たらい)の中でよく絞ってたたみ、茶碗に仕組みます。 茶巾には絞り加減がありますが、自分で経験してみて このくらいの絞り加減が一番拭きやすいということを、覚えておけばよいので…

利休道歌 22

筒茶碗深き底よりふき上り 重ねて内へ手をやらぬもの 筒茶碗を拭くときは、茶巾を人さし指と中指とではさむようにして まず底を拭き、次に茶碗の縁にかけて、いつものように3回半拭いて 茶巾を茶碗から離さずに下においてから 茶巾をはずして上部を少し折っ…

利休道歌 21

口ひろき茶入の茶をば汲むといふ 狭き口をばすくふとぞいふ 「口ひろき茶入」とは大海や鮟鱇のことです。 その他のほとんどの茶入は「狭き口」ですね。 「汲む」というのは水を汲むイメージです。 「すくう」より「汲む」のほうが力がいる感じです。 お点前…

利休道歌 20

大海をあしらふ時は大指を 肩にかけるぞ習ひなりける 大海の茶入はずいぶん平べったく、丈が低いので 横から持ったままでは、蓋が扱いにくいです。 それで、茶入を左手で上から半月に持ち 茶杓を持った右手で茶杓を握りこんで茶入を扱って 茶入を左の手のひ…

利休道花 19

文琳や茄子丸壺大海は 底に指をばかけてこそ持て 前の歌の逆ですね。 肩衝の茶入は、たいてい背が高いので、中次のように横から持ちます。 「文琳(中国産のリンゴの意味)」は丸く小振りです。 「茄子」は下の方がふくらんだ茄子のような形をしています。 …

利休道歌 18

肩衝は中次とまた同じこと 底に指をばかけぬとぞ知れ 茶入にはいろいろな形があります。 中国から渡来した唐物茶入には 文琳・茄子・文茄・尻張・丸壺・鶴首・瓢箪などがありますが 一番普遍的な形は肩衝(かたつき)です。 肩衝は同と口との間の肩にあたると…

利休道歌 17

薄茶入蒔絵彫もの文字あらば 順逆覚え扱ふと知れ 薄茶器は、真塗やため塗の無地ばかりではありません。 蒔絵の施されたもの、堆朱・堆黒・鎌倉彫のような彫物 詩中次のように、中次の蓋から胴にかけて漢詩が書いてあるもの 和歌のちらし書き蒔絵のように、蓋…

利休道歌 16

棗には蓋半月に手をかけて 茶杓を円く置くとこそしれ 前の歌は中次でしたが、これは棗(なつめ)の扱いです。 棗は足利義政の時代に、京都妙覚寺法界門の傍らに住んでいた 羽田五郎という人が始めたといわれています。 形が果実の棗に似ているからだそうです…

利休道歌 15

中継は胴を横手にかきて取れ 茶杓は直におくものぞかし 中継(なかつぎ)は「中次」という薄茶器の一種で 円筒形の中央部に合口があるので、このように名付けられました。 「胴を横手にかきて取れ」とは「胴を横手にかけて取れ」という意味で 中次は蓋が深い…

利休道歌 14

よそにては茶を汲みて後茶杓にて 茶碗のふちを心してうて はじめたばかりのお稽古のお茶筅通しや、お茶杓でお茶を入れた後 「そこでコツンとして」と言われたと思います。 でもそれは便宜上で、本当は注意しなければなりません。 お茶碗が高価なものでなくて…