利休道歌 34
絵の物を掛る時にはたくぼくを 印あるほうへ引きおくもよし
絵の掛け物といっても茶室に掛けるものは、極彩色の絵ではありません。
主として水墨画のようなものですが、そうした掛け物を掛けるときは
啄木(巻緒)を作者の印(落款)が押してある方へ引いてもよい、ということです。
作者の署名や花押・落款などは、たいてい向かって左側にありますが
絵の構図などで右側に署名されていたり、押されたりしていることがあります。
そのような場合は、床の上座・下座にかかわらず、
署名や落款の押してある方へ巻緒を引いてよいというのですが、
まあ普通は、前出の道歌のように「下座に引く」と心得ていれば良いのではないかしら…。
何故掛緒・巻緒を啄木というかと申しますと
巻緒の模様が点々と斑紋になっています。
それがキツツキ(啄木)の羽の斑紋に似ているからだそうです。