利休道歌 41
姥口は囲炉裏縁より六七分 低くすゑるぞ習ひなりける
姥口の釜というのは
口づくりが歯の抜けた老女の口に似ているところから名付けられた釜の名称です。
普通の釜は口づくりが胴より高くつくられていますが
姥口は、口が胴の中へ折れ曲がるようになっているので
胴全体より低いところに口があります。
そのため柄杓を釜にかけるとき、口にかけることができないので
胴の上部にあたるところに、柄杓をかけます。
そこで姥口の釜を炉にかけるときには、前の歌とは逆に
炉縁より約2cm(六、七分)低くかけるようにします。
このように姥口の釜を炉にかけ柄杓を釜の肩にのせて引くと
前の歌の釜のかけ方と同じように、柄杓の柄と畳の間に
指1本分の空間ができて、柄杓を扱いやすくなります。
当たり前のことですが、釜をかける高低は五徳の据え方で決まるわけです。