宗恵の『一日一禅』

宗恵の『一日一禅』 210

楓葉経霜紅(ふうようしもをへてくれないなり) 今年の紅葉は一段と綺麗です、とかニュースで聞く時があります。 昼と夜の寒暖の差が激しく、霜が降りるような気候が続くと その色は一段と鮮やかになるのですね。 厳しい修行を経てこそ人間的に成長し、その…

宗恵の『一日一禅』 209

紅葉満山川(こうようさんせんにみつ) 11月になりました。 5時をすぎるとあっと言う間に日が暮れます。 秋晴れの気持ちのいい日に、紅葉狩りに行きたいですね。 毎週日曜は予定があり、今年も紅葉狩りに行けないな…。 赤や黄色…錦に彩られた景色を、この…

宗恵の『一日一禅』 208

山高月上遅(やまたかくしてつきのぼることおそし) 高い山に遮られて月が上がってくるのがなかなか見えない という大変わかりやすい句ですが、その意味するところは 迷いや妄想・捉われに妨げられて なかなか悟りの境地に至ることができないたとえに用いら…

宗恵の『一日一禅』 207

普(ふ) 中国唐末五代の名僧・雲門文偃(うんもんぶんえん)にある僧が 「如何なるか是れ正法眼」(仏法の神髄とは何ですか) と尋ねたところ、雲門は答えました。 「普」 上を見ても下を見ても、真理は至る所に満ち満ちている ということを雲門は「普」一…

宗恵の『一日一禅』 206

話尽山雲海月情(わしつくす さんうんかいげつのじょう) 中国宋代の禅の書『碧眼録』に見られる句です。 損得や名声などを一切気にせず、心を開き清らかな心で 時間の限り語り合うことを言っています。 忙しい日常の生活から離れ、自然の中で仲の良いお友達…

宗恵の『一日一禅』 205

賓主歴然(ひんじゅれきねん) これは昨日の「賓主互換」とはまた違った意味の句です。 主客の区別がはっきりしている、ということですね。 席中では身分の差はなく、みな平等であるけれども 亭主は亭主として、客は客としての役割があります。 これを「賓主…

宗恵の『一日一禅』 204

賓主互換(ひんじゅごかん) 「賓主」とは賓客と亭主のことです。 亭主と客が自由自在に入れ替わることで、「無賓主の茶」と呼ばれるそうです。 亭主が客となり、客が亭主となる。 お互い気心の知れた間柄であるからこそできる茶会ですね。 緊張感が漂う中に…

宗恵の『一日一禅』 203

風吹不動天辺月(かぜふけどもどうぜずてんぺんのつき) 『普灯録』の中の 「風吹けども動ぜず天辺の月 雪圧せども摧(くだ)け難し澗底(かんてい)の松」 から採られています。 どんなに風が吹き荒れても、空高くかかる月は微動だにせず 山奥の谷間にある…

宗恵の『一日一禅』 202

仁者寿(じんしゃはいのちながし) 『論語』第6雍也(ようや)篇に、知者と仁者とを対比した記述があります。 子曰く、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。 知者は動き、仁者は静かなり。 知者は楽しみ、仁者は寿し。 知者は時の流れに自分を合わせて生き…

宗恵の『一日一禅』 201

積善来百福(せきぜんひゃくふくきたる) 昨日(社)茶道裏千家淡交会新潟支部55周年記念淡交茶会が 新潟市民芸術文化会館において盛大に開催されました。 青年部席のお床に掛けられた坐忘斎御家元の色紙がこの句です。 徳を積めば必ず良いことがあります…

宗恵の『一日一禅』 200

一月在天影印衆水(いちげつてんにあり かげしゅうすいにしるす) 空にはこうこうと月が明るい光を放ち、その光を地上のあらゆる水が受け取り その影を映している、という意味ですね。 この世の衆生は皆等しく仏の光を受けています。 すべてが等しく輝くはず…

宗恵の『一日一禅』 199

只在目前尋處無(ただもくぜんにあり たずぬるにところなし) 目の前にありありと現れているけれど、 捉えようとしても絶対に捉えられない という意味です。 人間の「心」のことを言っているのでしょうね。 悟りを求める心・他人を思いやる心・人を慕う心・…

宗恵の『一日一禅』 198

風光日日新(ふうこうひびあらたなり) ここ数日、さわやかなお天気が続いています。 街中に住んでいると、自然の移り変わりを目の当たりにすることはあまりありませんが 窓に吹き込む風が冷たく感じられるようになりました。 自然の景色は日々移り変わりま…

宗恵の『一日一禅』 197

一粒万万倍(いちりゅうまんまんばい) わたしは日めくりカレンダーが大好きです。 毎朝その日の暦を確認しながら、前日の一枚をはがす瞬間がなんとも言えません。 そこに時々「一粒万倍日」とありますが、さてどういう日なのでしょう? 禅語としては 一粒の…

宗恵の『一日一禅』 196

月在天水在瓶(つきはてんにあり みずはかめにあり) 可儔明弁(かちゅうみょうべん)という偉いお坊様に、ある僧が 「師の禅の特徴といえば何になるでしょうか?」と聞きました。 「雲は青天に在り、水は瓶にあり。」と明弁は答えました。 この句はこのお話…

宗恵の『一日一禅』 195

秋来黄葉落紛紛(あききたらば こうようおつることふんふん) 匡化(きょうけ)大師の名で知られる蔵嶼(ぞうしょ)禅師は 最高の悟りの境地について問われた時 「秋来たらば黄葉落ち 春至らば便ち花開く」 と答えたそうです。 秋になり葉っぱが黄色になり、…

宗恵の『一日一禅』 194

遥脱六根塵(はるかにろっこんのちりをだっす) 六根とは身体の六つの感覚器官 眼根・耳根(にこん)・鼻根・舌根・身根・意根を指します。 これらは感覚の入り口であると同時に執着の根源でもあります。 ですから常に清浄に保たなければならないのです。 美…

宗恵の『一日一禅』 193

紅葉舞秋風(こうようしゅうふうにまう) 冷たくなった秋の風に赤や黄色に色づいた葉っぱがひらひらと舞っている様子ですね。 散っていくはかなさと、 必ず秋には色づきそして落葉するという、普遍の摂理をあらわしているのでしょうか。 この句を見て、素晴…

宗恵の『一日一禅』 192

秋露白如玉(しゅうろしろきことたまのごとし) 秋の朝、庭の葉っぱにまるで宝石のように露が丸く光っている、 という光景でしょうか。 古い歌に 白露の己が姿をそのままに 紅葉に置けば紅の玉 というのがあるそうです。 紅葉の上に置けばルビーになり 青葉…

宗恵の『一日一禅』 191

打破漆桶底(たはしっつうてい) 真っ黒い漆を入れた桶は、中に何が入っているのか見当がつきません。 悟りの光が見えずに迷妄の中にいる衆生の心の状態にたとえられます。 その桶の底を打ち破る、というこの言葉は 修行の成果が現れて、明るい悟りの世界に…

宗恵の『一日一禅』 190

清淡(せいたん) 人間的に清らかで淡白で物事に執着しないで あらゆる面でさっぱりしていることを表現する場合に用いられる言葉だそうです。 人との交際も、深く交わることなく淡々としたほうが 長く友情を保つことができると『荘子』に書かれています。 君…

宗恵の『一日一禅』 189

吾心似秋月(わがこころしゅうげつににたり) 『寒山詩』の中の有名な詩 吾が心秋月に似たり 碧潭清くして皎潔たり 物の比倫に堪ゆるは無し 我をして如何が説かしめん (私の心は、秋の名月が緑深い淵のの底まで照らして輝くのに似ている。 これに比べること…

宗恵の『一日一禅』 188

金風吹玉管(きんぷうにぎょっかんをふく) 玉で作った笛が秋風によって吹き鳴らされて美しい調べを奏でているという 風そよぐ秋の茶席に最適の句であるが これは『臨済録』に収められる臨済義玄と平(びょう)和尚との問答の中に現れる。 平和尚に黄檗禅師…

宗恵の『一日一禅』 187

月知天下秋(つきはてんかのあきをしる) 月は名月の秋を知り 花は一様の春を知る から作られた句です。 一年365日、春がくれば花が咲き、夏になれば暑くなり 秋がくれば紅葉し、冬になれば雪が降る。 という太古から変わらない自然の有様ですが その根本…

宗恵の『一日一禅』 186

9月29・30日および10月1日に国立京都国際会館において 「第14回 社団法人茶道裏千家淡交会青年部全国大会」が開催されました。 30日の記念式典後の「お家元と語ろう」の中で リレー茶会のお軸・お茶杓の銘に込められた思いは? との質問にお家元…

宗恵の『一日一禅』 185

一葉落知天下秋(いちようおちて てんかのあきをしる) 『淮南子』(えなんじ:中国前漢の淮南王朝の思想書)説山訓に見える 一葉の落つるを見て歳の将に暮れんとするを知り 瓶中の氷を賭て天下の寒さを知る 葉が一枚落ちるのを見て年が暮れゆくのを知り 瓶…

宗恵の『一日一禅』 184

昨夜一聲雁(さくやいっせいのかり) 中国宋代の詩話集『詩人玉屑(しじんぎょくせつ)』の中の 「昨夜一声の雁 清風万里の秋」 から採られた、本格的な秋の訪れを告げる句です。 『万葉集』に収められる聖武天皇の歌 「秋の田の穂田を雁が音闇けくに 夜のほ…

宗恵の『一日一禅』 183

松菊萬年歓(しょうきくまんねんのかん) 松と菊が入れ替わっていますが鵬雲斎大宗匠のお筆によります「菊松萬年歓」 がリレー茶会北ルートAコースで回っています。 松は長寿の象徴であり、菊も古来不老長寿の霊花として珍重されてきました。 秋のおめでた…

宗恵の『一日一禅』 182

無為無事人(むいぶじのひと) 16日に行ったリレー茶会の大宗匠のお筆によります句でした。 何もしない何事にも捉われない融通無碍(ゆうづうむげ)の悟りの境地にいる人のことでしょうか。 そのような境地には到底なれない、と言いますか 現代社会で生き…

宗恵の『一日一禅』 181

清風払明月(せいふうめいげつをはらう) 明月清風を払い 清風明月を払う からとられた句です。この時期、一番目にする句ではないでしょうか。 明るい月に照らし出された野に秋の爽やかな風が吹き渡っている という真に清々しく、心洗われる情景ですね。 毎…