「千利休 ―その生涯と芸術的業績―」

桑田忠親著(中公新書610)中央公論社 1981.4刊

千利休について書かれた本はたくさんありますが、
この本は利休の書簡研究の第一人者、桑田先生が書かれたものです。
ですから一番、利休の本質に迫っているのではないでしょうか。

利休の偉大さは、最高支配者の秀吉の権力に屈せず、
死をもって抵抗したことにあると答える人が多い中、
桑田先生は、茶人または芸術家としてどれだけの仕事をしたか、
業績を遺したか、日本文化の向上と啓蒙のためにどれだけ貢献したかにある、
とあとがきに書かれています。

千利休を深くまた短時間で知ることのできる、大変素晴らしい一冊です。

余談ですが、桑田先生のお父様桑田立斎は、幕末の越後国新発田藩藩医
日本で初めて種痘を接種することを進めたお医者様の一人です。