宗恵の『一日一禅』 214
『寒山詩』の有名な一節
「露に泣く千般の草 風に吟ず一様の松」
から採られた句です。
たくさんの草がしっとりと露に濡れ、松はすべて同じように風に吹かれて
枝を鳴らしているという、秋の日の情景。
言葉の響きも美しく、少し肌寒さを感じながら、心落ち着く対句ですが
その意味するところは、
見た目には美しいけれども、そこに詠み込まれた悟りの境地には近付き難い
ということなんだそうです。
実はこの句、わたしが一番初めに手にしたお軸なんです。
伯父が煎茶を嗜み、黄檗山万福寺の管長さんとお友達だったことから
この一行をいただきました。今から20年以上前のことです。
今までにただ一度、11月のある茶会に掛けたことがあります。
久しぶりに出して、茶の間の床に掛けてみることにいたしましょう。