宗恵の『一日一禅』 166

鉄船水上浮(てっせんすいじょうにうかぶ)


一生居士でありながら出家者以上の悟境を形成したホウオン(変換できません)の残した詩に、

次のような一節がある。

生を護るには須く是れ殺すべし
殺し尽くして始めて案居(あんご)す
箇中(こちゅう)の意を会得すれば
鉄船水上に浮かぶ

生を全うするためには、生を脅かすものは全て殺さなければならず、

殺し尽くして初めて落ち着くことができる。

この意味を会得できれば不可能も可能になる、と居士は言う。

妄想や捉われを悉く捨て去れば、分別常識を超越した新しい世界が開けることが

そこには指摘されている。

『淡交テキスト 茶席の禅語編 8月』より


普段「妄想や捉われ」の中で生きているわたしは、なかなかそこから抜け出せないでいる。

というより、その世界を楽しんでいる、と言ったほうが良いかもしれない…。

悟ったからあの鉄の塊が空を飛んだり、海に浮かんだりするわけではない

なんて思っちゃいました…。