宗恵の『一日一禅』 52

漁人入得桃花洞(ぎょにんいりてとうかのどうをう)


桃は邪気を払うとか、不老不死の果実だとかいう民間信仰

ユートピアとしての桃源郷伝説を生みました。

中国六朝時代の詩人・陶淵明の『桃花源記』によると

ある漁師が川に沿って舟を進めていたところ、目の前に忽然と桃林が現れました。

林の中を進んでいくと山の麓に洞穴があり、入ってみると

そこには時の流れを超えた別世界があり、人々が楽しく平和に暮らしていた、そうです。

この句でいわんとしていることは

何ものにも捉われない、遊戯三昧(ゆげざんまい・心のままに仏の境地を喜び楽しむこと)の境地

ではないでしょうか。

「時の流れを超えた別世界」って、メリハリのない世界のような気がしますが…。

やはり人間には寿命があって、それぞれの年代にあった暮らしをして、一生を終える

というのが一番幸せなのではないかしら、と思います。