茶室の中の平等と貴人点
裏千家の小習事十六ヶ条(こならいごとじゅうろっかじょう)に
貴人点(きにんだて)というお点前があります。
これは高貴な方にお茶を差し上げる場合の点前作法です。
このお点前について「茶室の中では平等」という利休の教えに反するのでは、
と疑問を持った方がいる、というコメントをいただいたので
今日はこのことについて、わたしの考えを述べてみたいと思います。
もちろん茶室の中では武士であろうと町人であろうと、身分に関係なくお茶をいただきます。
このお点前が考えられたのは三千家に分かれた頃ではないでしょうか。
武士の世の中になり、朝廷の方とのお付き合いの中で
皇室の方を敬う気持ちのあらわれで、考えられたお点前だと思うのです。
差別するのと、敬う気持ちは違いますよね。
お茶は お客様にいかにして楽しんでいただくか、が大切です。
もちろん禅的な考え方もありますが、楽しくなければお茶ではないと思います。
その中で自分が尊敬する人に対するお点前として、貴人点があってもいいのではないでしょうか。