手水鉢 『南方録』 2

露地にて亭主の初の所作に水を運び、客も初の所作に手水をつかふ、

これが露地・草庵の大本(たいほん)也、

此露地に問ひ問ハるヽ人、たがひに世塵のけがれをすヽぐ為の手水鉢也

「露地では亭主が最初にすることとして水を運び、客も最初にすることとして手水を使う。

これが露地・わびの草庵の一番大切なところである。

この露地を訪ね、またそれを迎える人が、お互いに俗世のけがれをすすぐための手水鉢である。」

                                 『南方録』「覚書」より

茶室に入る前に手を洗うのは衛生の上で必要なことです。

しかし手水を使うのは単なる衛生のためでなく、心身を清める儀礼なのです。

日本人にとって「清める」は衛生的というより精神の清らかを意味しています。

侘び茶の基本は「手水鉢にあり」ですかね。