宗恵の『一日一禅』 8

放下着 (ほうげじゃく)


「放下」とは投げ捨てる・放り出す・手放すという意味です。

「着」は強意の助辞で本来は「著」を用います。

昨日の「不二」にも書きましたが、

有無・得失・是非・善悪というような二元対立の分別や執着心をすべて捨ててしまえ、ということ。

価値あるものもないものも総て捨て去って、胸に少しのわだかまりもないようにせよ、という意味です。

唐の時代の偉大な趙州禅師(じょうしゅうぜんじ)にひとりの僧が

「十分な修行を積んできたので、私には捨て去るものが何もありません。

これ以上どうすればよいのでしょうか。」と尋ねました。

「放下着」これがその時の答えです。

すなわち捨て去るものが何もない、というその心も捨ててしまいなさい、ということです。

「捨てた」という思いがまた心のわだかまりとなるわけで、それをまた捨て去るということなんですが

わたしには捨てるものが多すぎて、まだまだとても「放下着」にまでは至りませんです…。