利休道歌 79

釣舟はくさりの長さ床により 出船入船浮船としれ

花入に釣舟という舟形をしたものがあります。

竹や砂張(さはり/銅を主にし錫・鉛・銀を加えた合金)で作られ

床の天井から鎖や籐づるでつるします。

床の高さによりつるす位置を考えなさい、ということです。

座って拝見いたしますので、高くつるしては舟の底しか見えません。

床の高さの下から三分の一からちょっと下ぐらいが良いようです。

舳先(へさき)を床中心に向けることを「入船」といいます。

反対に、艫(とも)を床の中心に向けると「出船」になるわけです。

現在、裏千家では「入船」だけです。

門出のお祝いのお茶会などでは趣向として「出船」にされてもよろしいようです。

「浮船」というのは釣舟を薄板の上に置いたものです。「止まり船」とも言います。

やはり舳先を床中心に向けます。

船の形をした香合の向きも、やはりこれに準じるのでしょうね。