この本は映画監督・
熊井啓さんの奥さまで、
日本薔薇会主催のジャパン・ローズ・コンクール「香り部門」の審査員の一人、
熊井明子さんのエッセイ集です。
「一般にロザリオといえば、
カトリック教徒が
聖母マリアに捧げる祈りの際に用いる数珠。
普通、薔薇の木で作った珠と鎖とで出来ている。」
薔薇の木で出来ているとは初めて知りました。
ロザリオ・・・rosary
なるほど・・・そうなのですね。
熊井さんは少女の頃から気に入った詩や俳句、短歌や小文などを
ノートに書き抜いていらっしゃいます。
その中から、わたしも気に入った短歌をご紹介いたします。
われはけさそうひにぞ見つる花の色をあだなるものといふべかりける 紀貫之
野茨をりて髪にもかざし手にもとり永き日野辺に君まちわびぬ 与謝野晶子
かくまでも心のこるはなにならむ紅き薔薇か酒かそなたか 北原白秋
紀貫之の歌の「そうひ」は「薔薇」の訓読み。
白秋の「薔薇」はやはり「そうび」と詠みます。
歌人・
塚本邦雄さんは
「薔薇は
ばらや
バラではなく、やはり、この字でないと」
とおっしゃったそうです。
わたしは・・・「ばら」が好きかな・・・。
2003年5月15日 千早書房刊