「て」・・・天命釜(てんみょうがま)

下野国佐野庄天命(栃木県佐野市)で作られた茶の湯釜。
最古の遺品は文和元年(1352)の年紀の見える鎌倉極楽律寺の尾垂釜です。
多くは梵鐘などを鋳造していましたが、茶の湯釜の需要により
東山時代から釜の製作に移ったようです。
古く地名は「天明」と記されましたが、この頃は「天命」と書かれ
天命という表記は近世の天和3年(1683)に至り、それ以後は「天明」となります。
天猫釜の称もありますが、これは京都産の天命釜かもしれないそうです。
天命の釜は桃山時代以前を「古天命」、以後を「天命」と言います。
釜は丸形系統が多く、地紋は少なく
釜肌は豪壮・閑寂で、荒肌・小荒肌・弾肌(はじきはだ)・挽肌が特徴となっています。
鐶付は遠山・鬼面・獅子が多く、蓋は共蓋が多いです。