宗恵の『一日一禅』 179

體露金風(たいろきんぷう)


ある僧が雲門(唐代に雲門宗を開いた禅僧)に尋ねました。

「木が枯れて、葉が落ちるさまはどういうものですか」

雲門は答えました。

「體露金風」

悟りを求める心もあらゆる計らいもすべて消え去った境地を雲門に尋ねたら

それは秋風の中にありありと表れている、と答えたというお話が

中国宋代の禅の書『碧眼録』第27則にあります。

心身の束縛を除き去れば、目の前では真実がはっきりと見える

と教えています。

「金風」とは五行説で秋が金にあたることから「秋風」の別称として用いられます。

真実…本当に大事なことは、いつも目の前にあるのだけれど

なかなかそれに気づかないのですね。