宗恵の『一日一禅』 37

春入千林處處鴬(はるはせんりんにいるしょしょのうぐいす)


表千家では利休の孫 元伯宗旦筆のこの句が初釜に掛けられるそうです。

いたるところで鴬が鳴き始め、周囲が春一色に彩られている様子を表しているのですね。

鴬は「ホケキョ」と鳴く声が「法華経」に通じることから仏教徒に特に親しまれてきたそうです。

しかし春を告げる鳥として『万葉集』や『古今集』にもよくでてきます。

春来ぬと人は言えども鴬の 鳴かぬかぎりはあらじとぞ思ふ   壬生忠岑

この句の最後の文字「鴬」が「花」になった句もあり

仏性があらゆるところに満ち満ちていることのたとえに使われます。

春、山菜採りに出かけます。

まだ鳴くのが上手でない鴬の声に出合うと微笑ましい気持ちになりますね。