『時雨の記』

イメージ 1

わたしが属している青年部では隔月に機関誌を発行しています。
そこに今年からわたしのお勧めの本を紹介していますので
ブログでも紹介しますね。

『時雨の記』 中里恒子著 1977年 文藝春秋社刊

大変美しい小説です。神奈川の大磯の山沿いに住まう40代の茶道の師匠と、
会社の社長をしている50代の男との、密かな恋の物語です。と言っても
ドロドロした不倫のお話でなく、本当の純愛で生々しさはありません。
だだっこのような男の心と、あっけらかんとした無邪気さを持つ女の心が
からみあいながら、物語は進んでいきます。話の流れの折々に作者好みであろう
茶道具がちりばめられています。
若い頃に読んだときは、ふ~んそんなものか、ぐらいにしか感じませんでしたが、
今あらためて読み返すと、自分自身が主人公の年齢になったこともあって、妙に
親しみがわきます。文庫本で手に入りますので、どうぞご一読を。

◎注 機関誌に載せた文とは全く違います