利休道歌 90
稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一
お稽古をするには、一から二、三、四と順を追って十まで進み、
その次には再び初めの一に戻って、また改めて二、三、四と進みます。
初めて一を習う時と、十から戻って再び一を習う時とは
習う人の心は、全く違う状態になっています。
初めて習うお点前はその手順を覚えるだけで精一杯ですが
再びそのお点前をすると、その手順の理屈がわかったりします。
阿部宗正先生は「初心に帰ってやらせていただきます」という言葉は不充分とおっしゃいます。
「十まで行った人がもとのその一に戻った時は、一段高い一でなければならない」
十まで習ったからもうこれでよい、と思った人の進歩はそれで止まってしまいます。