利休道歌 63

風炉の時菜籠にかね火箸 ぬり香合に白檀をたけ

これは前の歌の風炉バージョンです。

菜籠(さいろう)とは籠製の炭斗です。

昔、菜を摘み入れる籠を、炭斗に利用したことから炭斗のことをこのように呼びます。

炭斗としては菜籠の方が古く、前出の瓢は後に好まれました。

足利時代までの茶の湯風炉のみで、炉は紹鴎時代にできたのです。

風炉も元は中国から渡来したもので、炭道具の火箸もそれに付属して渡来した金属製。

そこで風炉の炭手前には、菜籠の炭斗・金属製の火箸という約束ができました。

香合も、初めは中国渡来で漆器製のものが多く、

香も伽羅・沈香・白檀(きゃら・じんこう・びゃくだん)などの香木でした。

一説には、炉に使う陶磁器製の香合は、小堀遠州が初めて使用したといわれています。