利休道歌 57
名物の茶碗出たる茶の湯には 少し心得かはるとぞ知れ
茶会で、亭主から拝見に出された道具を、大切に扱うことは客の心得ですが
特に名物(古来有名な茶人によって優秀な茶器と選定されたもの)や
由緒ある茶碗ですすめられた時は、客としてその扱い方は、常の茶碗とは違います。
もちろん亭主のほうでも、扱い方は変わります。
たとえば「台天目」や、「茶碗荘(かざり)」がそうです。
客はこのようなお点前でいただく時、茶碗を直接畳の上には置きません。
古袱紗の上にのせて扱い、茶碗のとりおろしも片手でなく、両手で扱います。
拝見するときは両手で取り上げ、両肘を両膝につけて低い位置で拝見します。
もっと丁寧にする場合は、両肘を畳につけます。
茶碗を自分の体のほうに引きつけるのではなく
抱えるようにして、肘をつけてぐっと向うで拝見する、という感じです。