利休道歌 11

濃茶には点前をすてて一筋に 服の加減と息をもらすな


お濃茶は服加減が一番大事です。

お濃茶を服加減よく練るには、湯加減とお湯の量が決め手です。

しかしこの歌のように「点前をすてて」しまっては、お濃茶を練ることはできません。

これは服加減よくお濃茶を練ることに専念して

お点前の上手下手は考えないようにする、ということでしょう。

お濃茶を練る時の一番の心得は「息をもらすな」です。

おなかにグッと力をいれ、呼吸をととのえることが肝心です。

『石洲流三百ヶ條註』という古書に

「真の茶は薄茶なり。草の茶は濃茶なり。それ故に薄茶は一人一服宛也。
手前を専ら静不略第一にする也。台子のときとくと合すべし。
濃茶一服を打ち寄り呑ぞ略義也。服加減を重要にして手前は次とする也。」

と書かれています。この歌はこの文章を三十一文字に要約したものですね。

大寄せのお茶会でも、お濃茶の時は練りあがるまで

お茶席が一体となって静かに亭主の動作を見守ります。

この雰囲気がなんとも言えず いいですねぇ。